日本国内で、いまだかつてないほどの投資ブームが続いています。現在、世界的に見ても経済や社会環境の不透明性が高まり、予測困難な時代を迎える中で、若い年代ほど資金形成に関する意識に変化が起きているとも言われており、この投資ブームもその一環ではないかと考えられています。これから投資をはじめてみようと思っている方も多いと思います。
情報を集め、投資に関して学び、HFMに代表されるような海外会社を介してFXなどに挑戦してみようと、投資家としての一歩を踏み出そうとしている方もいるかもしれません。その一方で、リスクがあるから不安でなかなかはじめられない、という方も少なくないのではないでしょうか。
投資活動を行う際に最も重要なのは、きちんとリスクを理解した上で、自分が許容できるリスクの範囲内で投資を行うことです。逆に言えば、リスク管理をしっかりしておくことで、より投資に対してポジティブなアクションをとれるようになるはずです。
ここでは、あなたが投資の最初の一歩を踏み出すために必要な、リスク管理に関して説明していきたいと思います。
『守り』と『攻め』
リスク管理というと、しばしば『守り』の姿勢をイメージしがちです。金融においては貯蓄することで、資金を守ることができます。銀行が破綻したりしない限り、その資産は安全に守られるわけです。その反面、貯蓄でのリターンはほぼ期待できません。特に日本では超低金利とも言われる時代です。資産形成という意味でもほぼ変化はないと言っても過言ではないでしょう。
それに対し、資産を運用するという『攻め』の行為を代表するのが『投資』です。株式や投資信託、為替などの金融商品に投資する場合、元本割れや資産が目減りするリスクはありますが、投資期間が長期になると、その期間を平均すると金融機関にお金を預けるよりも利回りが高くなることが期待できるのです。もちろん、貯蓄に比べてリスクはあります。その代わりに、リターンもあるのが投資なのです。しかし、リスクとは実際になんなのでしょう?
リスクとは何か
リスク、と聞くと多くの人は『危険』というネガティブな印象をまず受けるのではないでしょうか。でもその印象は、本当に正しいのでしょうか。
リスクとは、必ずしも「危険なこと」ではなく、正確には「危険の生じる可能性」を指しています。つまり、リスクとは利益につながるか、損失につながるか、どうなるかわからないという不確定さを指しているんですね。投資の場合、資産運用による成果(収益または損失)の変動幅がリスクになります。ハイリスクとは、リターンの変動幅が広いという意味で、つまり、うまくいけば大きな収益を上げる可能性があるものの、逆に大きな損失を被る可能性もあるということです。その一方で、ローリスクはリターンの変動幅が狭いという意味になるため、大きな収益は期待できないが、損失が出てもさほど大きくはならないだろうということになるわけです。
投資で大切なのは、このリスクがネガティブな意味で実際に現実のものとなった時に、あなた自身の生活や人生に大きな損失を与えない範囲で投資を行うことです。それがリスク管理でもあるのです。
リスクを把握する
一般的に、投資対象が何であれ、投資には以下のようなリスクがあると言われています。
株価変動リスク
株(株式)の価格が上がり下がりする可能性のことを指しています。株式に投資する場合は、この「株価変動リスク」を常に抱えることになります。
株価は、景気やその企業の業績、国内外の政治情勢などの要因で変動します。株式の売買でキャピタルゲイン(売却益)を得ることを目的としている場合は、こうした要因を分析し、将来的な株価の変動を予測することが重要です。
為替変動リスク
金融商品そのものの価値が下がらなくても、為替の変動が資産運用に影響する可能性があります。これが「為替変動リスク」です。
金利変動リスク
債券の市場価格は金利の変動と関係しています。金利が上がれば債券価格は下落し、逆に金利が下がると債券価格は上がります。債券投資においては、金利の変動が債権の市場価格に影響する可能性があり、これを「金利変動リスク」といいます。
信用リスク
デフォルト・リスクとも呼ばれるもので、株式や債券を発行している企業や国が債務不履行に陥る可能性のことを指します。株式投資においては、企業が倒産すれば最悪の場合は元本が戻りません。
株式投資の場合には、なるべく財政難や経営不振などに陥る可能性が低そうな企業に投資することで、「信用リスク」を抑えることができます。
流動性リスク
流動性とは、換金の容易さや市場に出回る数の多さのことなどを指します。流動性が最も高いのは現金とされています。この現金を金融商品に変えると、流動性は低くなります。
金融商品も、すぐに売ることができる商品であれば流動性リスクは決して高くないですが、売りたくても売ることができない金融商品は流動性リスクが高くなります。一般的に、不動産投資は高額商品のため買い手がすぐには見つからず流動性リスクが高めです。
リスク管理フレームワーク
近年、アメリカのビジネスシーンでよく聞かれるようになった言葉が『RMF』というものです。『Risk Management Framework』の略で、直訳すると『リスク管理フレームワーク』になります。体系的かつ効果的に実践するための指針に基づきリスク管理を行うというもので、リスクの特定、リスクの軽減、リスク監視と報告、リスクガバナンスの、5つの要素で構成されています。こうしたリスク管理法を個人にも応用することで、投資の際にも足元をしっかり固めておくことができるでしょう。
また、自分のリスク許容度を明確に把握しておくことも大切です。年齢や収入、家族構成、資産状況、金融知識、投資経験、性格などから判断できる自分のリスク許容度は、現在では民間サイトやアプリなどでも簡単に診断できるようになっています。